Book Travel (海外編)
「冷静と情熱のあいだ」の舞台に行きたい!(イタリア編)
小説の舞台となった場所をご紹介する「Book Travels」のコーナー。
今回は、辻仁成さんの『冷静と情熱のあいだ(Blu)』の舞台について、簡単な概要とともにご紹介していきます (*´ω`*)
今回ご紹介する 8 箇所は観光地として有名な場所も多く、実際に足を運んでみるのも楽しいと思いますよ。
もしよろしければ、旅行計画の参考にしてくださいませ (・ω・)ノ
イタリア・フィレンツェ
『冷静と情熱のあいだ(Blu)』では、物語の主な舞台としてイタリアのフィレンツェ、ミラノが大変魅力的に描かれています。
まずは、主人公である阿形順正が暮らす街、フィレンツェからみていくことにします (*´∀`)
1.フィレンツェのドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)

何と言っても、物語のメインテーマになっている「フィレンツェのドゥオモ」これは外すことができませんね!
ドゥオモとは、イタリア語で街を代表する大聖堂のこと。なのでフィレンツェだけでなく、ミラノなどにもドゥオモと呼ばれる大聖堂は存在しています。その町ごとのランドマークとなっている教会というわけですね。フィレンツェのドゥオモは、写真のとおり、街中にどんと大きくそびえ立っています。ここのクーポラから見渡すフィレンツェの街並みは素晴らしいと評判です。
では、フィレンツェのドゥオモは、物語のなかでどのように登場するのでしょうか?
フィレンツェで生活している順正は、かつての恋人であるあおいのことが忘れられずにいました。いまの恋人である芽実と身体を重ねながらもあおいのことを度々思い出す順正。その心には、あおいと交わした「あおいの30歳の誕生日に、ドゥオモのクーポラで逢おう」という約束が残っていたのです…。
そう、この約束の場所こそが、フィレンツェのドゥオモなのです。
刻一刻と近づいてくる約束の日。あおいに逢いたいという気持ちは大きくなっていきますが、順正はいまだドゥオモに行くべきか決意できずにいました。約束の日、あおいがドゥオモに来てくれる保証なんて何一つありません。もし、ドゥオモにあおいが来なかったら…。そのときは、記憶のなかのあおいとも決別しなくてはなりません。
順正はドゥオモに登る決意を固めるのか?あおいはやってくるのか?
ちなみに、クーポラとは写真の中央右、丸い屋根をもつドーム部分のことを指すようです。作中の「ドゥオモのクーポラで会おう」という約束は、ドームの上のほうに王冠のようにのっている展望台を意図しているよう。
そんなふたりの心情を考えながら、ドゥオモのクーポラに登ってフィレンツェの街並みを見渡すのも一興ですね!
2.ヴェッキオ橋&アルノ川

ヴェッキオ橋は、フィレンツェを流れるアルノ川にかかる歴史的な橋です。イタリア語で「古い橋」という名前が示すとおり、現在、フィレンツェ最古の橋として、みんなに親しまれています。写真の中央、建物が乗っている妙ちくりんな橋がヴェッキオ橋です。ちなみに、橋の中央にあるテラスからの眺望はバツグンで、いつも多くの観光客で賑わっているようですよ。
アルト川は、フィレンツェの街中を東西に流れる河川で、特別水が綺麗であったりといったことはありませんが、市民の生活に根付いた河川で昔から愛されています。夕日との相性は素晴らしいと評判で、夕暮れの川面に向けて多くの観光客がシャッターをきっています。
ヴェッキオ橋は順正の暮らすアパートから歩いて 5 分ほどの場所にあり、また、ヴェッキオ橋のそばには順正の働いている工房があります。つまり、順正のフィレンツェでの生活において常にそばにある存在、それがヴェッキオ橋とアルト川なのですね。
3.グイッチャルディーニ通り

グイッチャルディーニ通りは、ヴェッキオ橋からピッティ宮殿をむすぶ通りの名前です。上の写真の白い矢印に沿って大通りがみえますよね。これです。
グイッチャルディーニ通りの名前は、12世紀頃フィレンツェに進出してきたグイッチャルディーニ一族に由来します。この一族は裕福な商人であり、政界にも進出できるほど力をもった一族だったようです。
小説版の 47 ページにはこう書いてあります。
工房の前を登るグイッチャルディーニ通りを五十メートルほど辿ると、パラッツォ・ピッティの重々しい立面が姿を現す。
—冷静と情熱のあいだ (Blu), 47 ページ より
パラッツォ・ピッティ(=ピッティ宮殿)には順正のお気に入りの絵画「大公の聖母子」が展示されています。きっと順正は、その絵画をみるため、日々グイッチャルディーニ通りを歩き、ピッティ宮殿へと来ていたのでしょう。現在のグイッチャルディーニ通りはお土産物屋さんが軒をつらねる観光通りとなっていますが、順正の日常を想像しながらゆっくり散策するのも一興ではないでしょうか。
4.パラッツォ・ピッティ(=ピッティ宮殿)

ピッティ宮殿は、15世紀、銀行家ルカ・ピッティによって建築がはじめられました。このルカ・ピッティは、フィレンツェで権勢をふるったメディチ一族をライバル視しており、「メディチ宮よりも優れた建物を」という一心で投資していたようです。しかし、ルカ・ピッティは、ピッティ宮殿の完成をみることなく死去してしまい、ピッティ宮殿の建築は中断されました。その建築を再開・完成させたのは、皮肉にもメディチ家の当主コジモ1世でした。
現在ではメディチ家が収集した多数の美術品を公開しており、美術館・博物館として市民に親しまれています。
順正は、昼休憩の時間を利用して、よくピッティ宮殿へ大好きなラファエッロの絵画を見に来ていたそうです(小説版 47 ページ)。日々通っていたからこそ、順正は美術品の監視員が代替わりしていることに気づきます。過ぎ去りし時間と人の移り変わり、そしてその中で変わらない美術品の輝きに気づき、その輝きを守る修復士という職業にあらためて自信をもったのでした。
5.サンタ・マリア・ノヴェッラ教会

物語終盤、恩師の訃報を知り、順正は再びフィレンツェへと帰ってきます。
そして、あおいとの約束の日が近づく中、フィレンツェに戻った順正は自身の心と向き合うようになっていきます。
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会は 、そんな物語の最終盤にでてくる建物です。
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会はサンタ・マリア・ノヴェッラ駅のすぐそばに位置しており、物語の終盤も終盤、再会した順正とあおいはサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の高貴な尖塔を視界に映しながら、ゆっくりと駅まで歩いて行きます。
作中で、順正が最後に決断を迫られる場所、それがサンタ・マリア・ノヴェッラ駅です。
それがどんな決断なのか、それはご自分の眼で確かめていただけたら、と思います(´-`*)
イタリア・ミラノ
物語が中盤に入ると、順正はミラノへと旅立つことになります。彼女である芽実の父親に会いに行く旅です。しかし、肝心の芽実が父親に会いたがりません。そこで仕方なく、順正たちはミラノを観光することにしました。
ということで、次は、ミラノ旅行で登場したロケーションについてご紹介していきます(*´∀`)
6.ミラノ中央駅

ミラノ中央駅は、ミラノの鉄道の玄関口であり、イタリアで2番目に利用者の多い駅だそうです(利用者トップは、ローマのテルミニ駅)。順正と芽衣のミラノの旅も、当然、ミラノ中央駅から始まります。
小説版 81 ページにはこのように書かれています。
ぼくたちを乗せたユーロスター(国際特急)は予定通り夕方の四時にミラノ中央駅に到着した。秋の深まる北イタリアの大都市は低い雲が濃厚に空を覆い隠し薄暗かった。
(中略)—冷静と情熱のあいだ (Blu) より
人々もポケットに手を入れたまま足早に駅構内へと逃げ込んでくる。ミラノの人々の表情には、どこか東京の人間に似た険しさがあった。
フィレンツェの穏やかな空気に慣れ親しんだ順正には、ミラノの雰囲気が暗く冷たい印象として感じられたようです。ぼくもミラノを旅行したことがありますが、たしかにミラノは大都会独特の雰囲気があって東京に似た雰囲気といえるのかもしれません。
けど、スタイリッシュな雰囲気が好きな方にはオススメの街ですよ!
7.ポルディ・ペッツォーリ美術館

ポルディ・ペッツォーリ美術館は、ミラノの貴族であり美術品コレクターだったポルディ・ペッツォーリ氏のコレクションを展示する美術館です。美術館となっている建物はポルディ・ペッツォーリ氏の私邸ですので、その調度品などから当時の貴族の暮らしぶりを感じることができるのも面白いですよね。
作中、芽実はこの美術館で父親に会う決意を固めます。そんな、話の重要な転換点となっている美術館です。
8.ミラノのドゥオモ広場
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ミラノにもフィレンツェに負けないくらい有名なドゥオモがあります。
そのドゥオモの前に広がるのが、ドゥオモ広場です(←そのまんま)(´-`*)
ちなみに有名なミラノのドゥオモはこちら(僕がイタリア旅行いったときの写真なので日付が入ってます…。ごめんね…。)
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ミラノ旅行の終盤、順正はかつて愛した女性、あおいによく似た人影をドゥオモ広場で見かけます。
これだけ人通りの多い異国の広場で、意中の人の姿を見つけたら「運命」を感じずにはいられないというもの。
そんな物語が大きく動き出す小説中盤の重要なスポットです。
あなたも、ドゥオモ広場で自身の「運命の人」を探してはいかがでしょうか(*´ω`*)?
以上、長々とご紹介しましたが、「冷静と情熱のあいだ」の舞台を旅する10選いかがでしたでしょうか?
お財布に余裕があれば、色々まわってみたくなる魅力的な場所ばかりでしたね(´-`*)
ではまた!