Month: September 2019

Book Items

「冷静と情熱のあいだ」の美術品をチェック!

小説に登場したアイテム・雑貨について紹介する Book Items (Interior Goods) のコーナー。今回は「冷静と情熱のあいだ」に登場したアイテムのご紹介です。

「冷静と情熱のあいだ」には多くの美術品が登場します。しかし、その多くは “ただ登場するだけ” で、あまりストーリーに絡んできません。

今回は、多少なりともストーリーに絡んでいる次の 2 つについてご紹介することにします(・ω・)ノ

ラファエッロ作 「大公の聖母子」

アンジェリコ作「受胎告知」

それぞれ、どのような場面で登場したのか、みていきましょう。

1.ラファエッロ作「大公の聖母子」

出典:http://www.artmuseum.jpn.org/mu_taikounoseibo.html より

「大公の聖母子」は、「大公の聖母」とも呼ばれる。イタリアの芸術家ラファエロ・サンツィオの代表作のひとつである。

描かれたのは 1505 年 ~ 1506 年。現在はピッティ宮殿のパラティーナ美術館にて所蔵・展示されている。

ラファエッロの描く聖母はどれも静謐で豊麗な美しさに溢れている。他のルネッサンス画家たちが描いた多くの聖母たちにはない柔らかい愛らしさがある。ぼくはいつの頃からか、「大公の聖母子」と自分の理想の母親の姿とを重ね合わせてきた。寂しくなると、ここへ来て、じっと下から覗き込んだ。「大公の聖母子」にだけぼくは自分の心を素直に見せてきた、とも言える。

冷静と情熱のあいだ, 47 – 48 ページ

「大公の聖母子」は、冷静と情熱のあいだの主人公である順正にとって母性の象徴とも言える存在として描かれています。

「大公の聖母子」を見るために、その美術館に足しげく通っていた順正は、その監視員の移り変わりから時の長れを実感していきます。過去に囚われた順正の気持ちと現在の時の流れを対比させる重要なシーンですね。

「大公の聖母子」は有名な作品ですから複製画が様々なお店で売られています。ポストカードのような安いものを気軽にインテリアに使うも良し、少しお高いですがちゃんとした油絵画家による油絵をしっかりと玄関に飾るも良しですね。

ただし、高価な複製画を購入する際には全額返金保証のあるアトリエで購入するのが良いでしょう。人間の手で複製する以上、その人の技術によっては満足できない作品となってしまうリスクがありますので購入者としては当然の権利ですよね。

楽天だと、こちらのお店が良いのではないでしょうか。


複製画 送料無料 プレミアム 学割 絵画 油彩画 油絵 複製画 模写ラファエロ・サンティ「大公の聖母〜Madonna&Child〜」 F12(60.6×50.0cm)サイズ プレゼント ギフト 贈り物 名画 オーダーメイド 額付き

2.アンジェリコ作「受胎告知」

出典:http://www.artmuseum.jpn.org/mu_jyutaikokuti3.html より

「見ろ、これがアンジェリコの代表作『受胎告知』だ。なんとも言えない構図だな。この清楚な佇まい。心が洗われるとはまさにこういうものに触れた時に感じるものだ。見ているだけで気持ちが穏やかになってくる。つまらないことの多い世の中を清める力がある」

祖父のはきはきとした意見に、芽実は終始微笑んでいた。

冷静と情熱のあいだ, 116 ページ

「受胎告知」は、順正の味方であり、良き理解者である祖父「阿形清治」がイタリアに訪ねてきて、芽依、順正と三人で美術館巡りをするシーンで登場します。ここはイタリアで傷心した順正が日本へ帰る決意を固める、物語の重要な転機となるシーンです。

「受胎告知」とは新約聖書に書かれているエピソードのひとつで、処女マリアに天使ガブリエルが降り、マリアがキリストを妊娠したことを告げ、マリアがそれを受け入れるというものです。

非常にポピュラーなテーマの一つであり、「受胎告知」はダヴィンチをはじめ、様々な画家がそれぞれの解釈で描いています。各画家の「受胎告知」を見比べてみるのも楽しそうですね。

フラ・アンジェリコは、その生涯で 10 枚以上の「受胎告知」を描いています。そのなかでも、作中に登場するフィレンツェのサン・マルコ美術館に所蔵されている「受胎告知」は、最高傑作と呼ばれるもののひとつです。

アンジェリコの受胎告知は、いまみても部屋にインテリアとして飾れるようなモダンなデザインとなっていますが、描かれたのはなんと 1440 年。製作者であるフラ・アンジェリコの卓越したセンスを感じることができますね。

調べてみると、受胎告知をプリントしたスマホケース販売されているようです。

順正の 祖父「阿形清治」 が絶賛した受胎告知をスマホとともに持ち歩いて、心を清らかに保ってみるのも一興かもしれません(・ω・)ノ


スマホケース 【手帳型】 iPhone 11 (Pro / Max) / X / XS (Max) / XR / 8 (Plus) / 7 (Plus) / 6(s) / 6(s) Plus / 5(s) / SE / Xperia GALAXY AQUOS 他 – 「世界の名画」 フラ・アンジェリコ / 受胎告知 – カード収納付 スマホカバー 【メール便発送】

「冷静と情熱のあいだ」に登場したアイテムを生活に取り入れて、イタリアの文化を感じるライフスタイルというのもオシャレですね♪

以上、Book Items でした!ではまた!

Book Items

「冷静と情熱のあいだ」のグルメを楽しみたい!

Book Items (Gourmet) では、小説にでてきたグルメ情報についてご紹介しています。小説の主人公になった気分で、食事を楽しんでみてはいかが?

「冷静と情熱のあいだ」に出てくるグルメの数はあまり多くありませんが、ところどころで美味しそうな料理の名前がでてきます。今回は、その中でも特に魅力的な4つのグルメについてご紹介します (・ω・)ノ

芽実は、まずキャベツと豆と香味野菜を古くなったパンと一緒に長時間煮込んだリボッリータと呼ばれる料理を食べ、次に白インゲンのパスタを胃に流し込み、最後に代表的なトスカーナ料理の、子牛の胃袋のトマト煮込み、トリッパ・アラ・フィオレンティーナを平らげてしまったのだった。とても女の子が普段食べる量ではないので、店員も目を丸くして芽実を見つめていた。

冷静と情熱のあいだ (Blu), 56 ページ より

順正と芽実がささいなことから喧嘩をしてしまい、怒った芽実がレストランでやけ食いをするシーンですね。ここで出てくるリボッリータ、白いんげんのパスタ、子牛の胃袋のトマト煮込みとは、それぞれどのような料理なのかご紹介します。

1.リボッリータ

出典: http://selvatica.blog45.fc2.com/blog-category-10.html より

リボッリータとは、イタリア・トスカーナ地方の伝統的な料理です。

簡単に言うと、ミネストローネ(=トマトベースの野菜スープ)にパンを混ぜ込み、旨味を吸わせたもの。

リボッリータとはイタリア語で「再び(リ)+煮た(ボッリータ)」という意味だそうです。一説によると、作りすぎて余ってしまったミネストローネを翌朝温めなおすときに、パンを混ぜ込んで食べたのが由来だとか。

現在のレシピを調べてみると、パンと一緒に煮込むもの、できたスープにパンをひたして食べるものなど様々です。郷土料理として親しまれているものなので、その家庭ごとに独自のレシピがあるのですね。

「冷静と情熱のあいだ」の書き方を見るに、順正と芽実が食べたのはパンを一緒に煮込んだもののようです。

このリボッリータは家庭料理の印象が強く、高級イタリアンなどではメニューに載ってないことも多いようです。リボッリータをレストランで食べるには、トスカーナ家庭料理を提供しているようなところを狙うのが良いでしょう。

例えば、福島県にあるイタリア郷土料理のレストラン「La Selvatica」は、シェフのブログで「リボッリータがうちの十八番!」と言っていますから期待できますね。この La Selvatica は食べログでも評価の高いお店になっていますので、興味のある方は一度足を運んではいかがでしょうか?

2.白いんげんのパスタ

出典: https://www.inoueseikoen.co.jp/olive-recipe/?p=1335 より

白いんげん豆はイタリアでよく食べられている豆のひとつです。そんな白いんげん豆をつかったパスタのレシピも家庭によって様々。

ネット上でも上の写真のようなベーシックなパスタからスープパスタのようなものまで、色々なレシピが公開されています。

作中に出てくる白インゲンのパスタは作り方について言及していないため、どのようなパスタなのか推測することはできません。

ここはひとつ、ご自身で白いんげん豆を購入し、お気に入りのパスタレシピを探してはいかがでしょうか?


乾燥 白いんげん豆(ファジョーリ カンネリーニ)<イタリア産>【500g】【常温品】【常温/冷蔵混載可】

3. トリッパ・アラ・フィオレンティーナ

出典: https://gramha.net/media/2051026521761590233  より

トリッパ・アラ・フィオレンティーナとは、牛の胃袋のトマト煮込みのことです。具体的には「ハチノス」と呼ばれる部位をつかって作ります。

このトリッパ・アラ・フィオレンティーナはイタリアでは非常にポピュラーな家庭料理。地域によって少しずつレシピが異なるらしく、例えばローマ風だとミントを入れて煮込むのが一般的だそうです。

トリッパ・アラ・フィオレンティーナをレストランで食べたい方は、イタリアンレストランに行くと良いでしょう。マイナーな料理ではないので、メニューが充実しているイタリアンならば高確率で準備されていると推測されます。

もし、絶対に食べたい!というのであれば、都内のイタリアン「サラ・ダ・プランツォ」はいかがでしょうか?トリッパ・アラ・フィオレンティーナが、お店の看板メニューとして紹介されているので期待がもてますね♪

4.パニーノ

出典: https://shop-italia.jp/food/panino_giusto_kojimachi より

最後は、小説の中盤に出てきた料理、パニーノについてご紹介します。

痛いくらいに冷たく張り詰めた空気が充満する冬の朝の工房が気に入っている。

誰もいない作業場で一人、近くのバールで買ってきたパニーノをカプチーノで胃に流し込むのは格別だ。

冷静と情熱のあいだ (Blu), 106 ページより

うーん、さすが順正。なんだかオシャレな感じです。早朝の職場でパニーノをかじるのが楽しみだったんですね。

パニーノとは、食材をパンで挟んだイタリア風サンドイッチのこと。いまは、パニーニ(※パニーノの複数形)の呼び名の方が一般的かもしれません。

基本的には、野菜・チーズ・生ハムなどの薄切り肉をパンで挟んだものがパニーノ(パニーニ)と呼ばれます。

パニーノは珍しい料理ではないので、イタリア料理店だけでなくデパ地下のオシャレなパン屋さんなどでも売っています。というか、ファストフードの Subway もパニーノですよね。

しかし、そんな庶民的なものではなく、本場のパニーノが食べてみたい!…そんなあなたには、「パニーノ・ジュスト」というレストランがおススメです。

このお店のパニーノはタレントの森泉さんがテレビで絶賛したことで有名になりましたね。

あなたも順正の気分で、職場の朝をパニーノと共に過ごしてはいかがでしょうか(*´ω`*)?

以上、冷静と情熱のあいだのグルメ紹介でした!ではまた!

Book Travels

「冷静と情熱のあいだ」の舞台に行きたい!(国内編)

小説の舞台となった場所をご紹介する「Book Travels」のコーナー。

今回は、辻仁成さんの『冷静と情熱のあいだ(Blu)』の舞台について、日本国内で登場したスポットを簡単な概要とともにご紹介していきます (*´ω`*)

東京

物語の中盤~終盤、順正は自己をみつめなおすため、一度日本に帰国します。

日本で順正の生活の拠点となるのが、東京・世田谷にある梅が丘のアパートです。

順正が暮らす梅が丘のアパートは羽根木公園のすぐそばにあり、部屋の窓からは羽根木公園の小高い丘が見えています。

日本で定職についていない順正は、部屋から見える羽根木公園の姿をながめることで、季節の移り変わりを実感していたのでした。

1. 羽根木公園

(出典:http://www.city.setagaya.lg.jp/shisetsu/1217/1271/d00004240.html)

羽根木公園には650 本以上の梅の木が植えられており、東京都内でも有数の梅の名所として知られています。

順正もまた部屋の窓から見える羽根木公園の梅を好ましく思っていたようで、順正が再び日本を離れるとき、彼が心の中で別れを告げたのはいつも生活の傍らにあった羽根木公園の梅の木でした。

2. 成城大学

(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Seijouniv2012055.jpg )

成城大学は順正の母校です。

作中で、梅が丘に帰ってきた順正は、仕事をせず思索にふけって毎日を過ごしていました。そんな日々の中で、順正は何度か母校である成城大学まで足を延ばしています。

そこでまた、同級生だったあおいの記憶にひきよせられることになるのですが…。

成城大学は、冷静と情熱のあいだ(Blu)の作者である辻仁成さんの母校でもあります。

キャンパス内の詳しい描写も納得ですね。作中にでてきた場所を探して散歩するのも一興かもしれません(*´ω`*)

以上2か所のスポット紹介でした。

冷静と情熱のあいだに出てくる国内スポットは少ないですが、いずれも東京にありアクセスが良いですから、東京観光ついでにふらっと足をのばすのが良いかもしれません♪

あなたも順正の気持ちを想像しながら、ゆっくり散歩してみては?

ではまた!

Book Travel (海外編)

「冷静と情熱のあいだ」の舞台に行きたい!(イタリア編)

小説の舞台となった場所をご紹介する「Book Travels」のコーナー。

今回は、辻仁成さんの『冷静と情熱のあいだ(Blu)』の舞台について、簡単な概要とともにご紹介していきます (*´ω`*)

今回ご紹介する 8 箇所は観光地として有名な場所も多く、実際に足を運んでみるのも楽しいと思いますよ。

もしよろしければ、旅行計画の参考にしてくださいませ (・ω・)ノ

イタリア・フィレンツェ

『冷静と情熱のあいだ(Blu)』では、物語の主な舞台としてイタリアのフィレンツェ、ミラノが大変魅力的に描かれています。

まずは、主人公である阿形順正が暮らす街、フィレンツェからみていくことにします (*´∀`)

1.フィレンツェのドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)

何と言っても、物語のメインテーマになっている「フィレンツェのドゥオモ」これは外すことができませんね!

ドゥオモとは、イタリア語で街を代表する大聖堂のこと。なのでフィレンツェだけでなく、ミラノなどにもドゥオモと呼ばれる大聖堂は存在しています。その町ごとのランドマークとなっている教会というわけですね。フィレンツェのドゥオモは、写真のとおり、街中にどんと大きくそびえ立っています。ここのクーポラから見渡すフィレンツェの街並みは素晴らしいと評判です。

では、フィレンツェのドゥオモは、物語のなかでどのように登場するのでしょうか?

フィレンツェで生活している順正は、かつての恋人であるあおいのことが忘れられずにいました。いまの恋人である芽実と身体を重ねながらもあおいのことを度々思い出す順正。その心には、あおいと交わした「あおいの30歳の誕生日に、ドゥオモのクーポラで逢おう」という約束が残っていたのです…。

そう、この約束の場所こそが、フィレンツェのドゥオモなのです。

刻一刻と近づいてくる約束の日。あおいに逢いたいという気持ちは大きくなっていきますが、順正はいまだドゥオモに行くべきか決意できずにいました。約束の日、あおいがドゥオモに来てくれる保証なんて何一つありません。もし、ドゥオモにあおいが来なかったら…。そのときは、記憶のなかのあおいとも決別しなくてはなりません。

順正はドゥオモに登る決意を固めるのか?あおいはやってくるのか?

ちなみに、クーポラとは写真の中央右、丸い屋根をもつドーム部分のことを指すようです。作中の「ドゥオモのクーポラで会おう」という約束は、ドームの上のほうに王冠のようにのっている展望台を意図しているよう。

そんなふたりの心情を考えながら、ドゥオモのクーポラに登ってフィレンツェの街並みを見渡すのも一興ですね!

2.ヴェッキオ橋&アルノ川

ヴェッキオ橋は、フィレンツェを流れるアルノ川にかかる歴史的な橋です。イタリア語で「古い橋」という名前が示すとおり、現在、フィレンツェ最古の橋として、みんなに親しまれています。写真の中央、建物が乗っている妙ちくりんな橋がヴェッキオ橋です。ちなみに、橋の中央にあるテラスからの眺望はバツグンで、いつも多くの観光客で賑わっているようですよ。

アルト川は、フィレンツェの街中を東西に流れる河川で、特別水が綺麗であったりといったことはありませんが、市民の生活に根付いた河川で昔から愛されています。夕日との相性は素晴らしいと評判で、夕暮れの川面に向けて多くの観光客がシャッターをきっています。

ヴェッキオ橋は順正の暮らすアパートから歩いて 5 分ほどの場所にあり、また、ヴェッキオ橋のそばには順正の働いている工房があります。つまり、順正のフィレンツェでの生活において常にそばにある存在、それがヴェッキオ橋とアルト川なのですね。

3.グイッチャルディーニ通り

グイッチャルディーニ通りは、ヴェッキオ橋からピッティ宮殿をむすぶ通りの名前です。上の写真の白い矢印に沿って大通りがみえますよね。これです。

グイッチャルディーニ通りの名前は、12世紀頃フィレンツェに進出してきたグイッチャルディーニ一族に由来します。この一族は裕福な商人であり、政界にも進出できるほど力をもった一族だったようです。

小説版の 47 ページにはこう書いてあります。

工房の前を登るグイッチャルディーニ通りを五十メートルほど辿ると、パラッツォ・ピッティの重々しい立面が姿を現す。

—冷静と情熱のあいだ (Blu), 47 ページ より

パラッツォ・ピッティ(=ピッティ宮殿)には順正のお気に入りの絵画「大公の聖母子」が展示されています。きっと順正は、その絵画をみるため、日々グイッチャルディーニ通りを歩き、ピッティ宮殿へと来ていたのでしょう。現在のグイッチャルディーニ通りはお土産物屋さんが軒をつらねる観光通りとなっていますが、順正の日常を想像しながらゆっくり散策するのも一興ではないでしょうか。

4.パラッツォ・ピッティ(=ピッティ宮殿)

ピッティ宮殿は、15世紀、銀行家ルカ・ピッティによって建築がはじめられました。このルカ・ピッティは、フィレンツェで権勢をふるったメディチ一族をライバル視しており、「メディチ宮よりも優れた建物を」という一心で投資していたようです。しかし、ルカ・ピッティは、ピッティ宮殿の完成をみることなく死去してしまい、ピッティ宮殿の建築は中断されました。その建築を再開・完成させたのは、皮肉にもメディチ家の当主コジモ1世でした。

現在ではメディチ家が収集した多数の美術品を公開しており、美術館・博物館として市民に親しまれています。

順正は、昼休憩の時間を利用して、よくピッティ宮殿へ大好きなラファエッロの絵画を見に来ていたそうです(小説版 47 ページ)。日々通っていたからこそ、順正は美術品の監視員が代替わりしていることに気づきます。過ぎ去りし時間と人の移り変わり、そしてその中で変わらない美術品の輝きに気づき、その輝きを守る修復士という職業にあらためて自信をもったのでした。

5.サンタ・マリア・ノヴェッラ教会

物語終盤、恩師の訃報を知り、順正は再びフィレンツェへと帰ってきます。

そして、あおいとの約束の日が近づく中、フィレンツェに戻った順正は自身の心と向き合うようになっていきます。

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会は 、そんな物語の最終盤にでてくる建物です。

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会はサンタ・マリア・ノヴェッラ駅のすぐそばに位置しており、物語の終盤も終盤、再会した順正とあおいはサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の高貴な尖塔を視界に映しながら、ゆっくりと駅まで歩いて行きます。

作中で、順正が最後に決断を迫られる場所、それがサンタ・マリア・ノヴェッラ駅です。

それがどんな決断なのか、それはご自分の眼で確かめていただけたら、と思います(´-`*)

イタリア・ミラノ

物語が中盤に入ると、順正はミラノへと旅立つことになります。彼女である芽実の父親に会いに行く旅です。しかし、肝心の芽実が父親に会いたがりません。そこで仕方なく、順正たちはミラノを観光することにしました。

ということで、次は、ミラノ旅行で登場したロケーションについてご紹介していきます(*´∀`)

6.ミラノ中央駅

ミラノ中央駅は、ミラノの鉄道の玄関口であり、イタリアで2番目に利用者の多い駅だそうです(利用者トップは、ローマのテルミニ駅)。順正と芽衣のミラノの旅も、当然、ミラノ中央駅から始まります。

小説版 81 ページにはこのように書かれています。

ぼくたちを乗せたユーロスター(国際特急)は予定通り夕方の四時にミラノ中央駅に到着した。秋の深まる北イタリアの大都市は低い雲が濃厚に空を覆い隠し薄暗かった。


(中略)


人々もポケットに手を入れたまま足早に駅構内へと逃げ込んでくる。ミラノの人々の表情には、どこか東京の人間に似た険しさがあった。

—冷静と情熱のあいだ (Blu)  より

フィレンツェの穏やかな空気に慣れ親しんだ順正には、ミラノの雰囲気が暗く冷たい印象として感じられたようです。ぼくもミラノを旅行したことがありますが、たしかにミラノは大都会独特の雰囲気があって東京に似た雰囲気といえるのかもしれません。

けど、スタイリッシュな雰囲気が好きな方にはオススメの街ですよ!

7.ポルディ・ペッツォーリ美術館

ポルディ・ペッツォーリ美術館は、ミラノの貴族であり美術品コレクターだったポルディ・ペッツォーリ氏のコレクションを展示する美術館です。美術館となっている建物はポルディ・ペッツォーリ氏の私邸ですので、その調度品などから当時の貴族の暮らしぶりを感じることができるのも面白いですよね。

作中、芽実はこの美術館で父親に会う決意を固めます。そんな、話の重要な転換点となっている美術館です。

8.ミラノのドゥオモ広場

ミラノにもフィレンツェに負けないくらい有名なドゥオモがあります。

そのドゥオモの前に広がるのが、ドゥオモ広場です(←そのまんま)(´-`*)

ちなみに有名なミラノのドゥオモはこちら(僕がイタリア旅行いったときの写真なので日付が入ってます…。ごめんね…。)

ミラノ旅行の終盤、順正はかつて愛した女性、あおいによく似た人影をドゥオモ広場で見かけます。

これだけ人通りの多い異国の広場で、意中の人の姿を見つけたら「運命」を感じずにはいられないというもの。

そんな物語が大きく動き出す小説中盤の重要なスポットです。

あなたも、ドゥオモ広場で自身の「運命の人」を探してはいかがでしょうか(*´ω`*)?

以上、長々とご紹介しましたが、「冷静と情熱のあいだ」の舞台を旅する10選いかがでしたでしょうか?

お財布に余裕があれば、色々まわってみたくなる魅力的な場所ばかりでしたね(´-`*)

ではまた!

Book Reviews

冷静と情熱のあいだ (Blu)/ 辻仁成


冷静と情熱のあいだ(Blu) (角川文庫) [ 辻仁成 ]

今回レビューするのは、辻仁成 著  『冷静と情熱のあいだ(Blu)』 です。むかし映画にもなった有名な小説ですね。

ひとこと感想&マイ評価

ナルシスト・クズ野郎の後悔と再生の物語

★★★☆☆(3星 / 5星中):ふつうにおススメ

概要

イタリアで絵画の修復士をしている阿形順正(あがた・じゅんせい)は、かつて愛した女性、あおいのことを忘れられずに生きていた。

イタリアで知り合った恋人、芽依(めい)との関係を重ねつつも、いまだ過去の恋愛に縛られたままの順正の心。

過去と現在の想いに悩み、大人になりきれない心情を丁寧に描いた愛と再生の物語。

感想

最初にひとことで感想を言いましょう。

これはね、

………。

………。

………。

過去に縛られたクズ男の物語 です。

正直言って、読み進めながら「…このクズ野郎が!」そう思わずにはいられない、そんな恋愛小説でした。

まあ、恋愛小説なんて何かしらの波乱がないと盛り上がりませんからな。ただ、男女がイチャコラしてるだけではドラマがないということなのでしょうが…。

しかし、この男主人公、クズすぎでしょ…。

あれだけ献身的な芽依(=今カノ)と散々肉体関係をむすんでおきながら、心ではずっと昔の女を追いかけていてさ…。あげくの果てには、ズルズルと関係をひきずったまま自然消滅を狙うという…。

うう、芽依ちゃんが可哀想… (´;ω;`)。

と最初から貶しモードで書いてしまいましたが、ぼくはこの物語、嫌いではないですよ。

まるで情景が浮かび上がってくるような文章の美しさとか、端正な筆致で語られる心情とか。

だけどね、小説に感情移入すればするほど、男主人公のクズさに腹が立つというか…。

…まあ、そんなお話でしたよ(投げやり)。

ところで、ご存じの方も多いかと思いますが、この「冷静と情熱のあいだ」は、男主人公の視点で書かれた Blu (=青パート)と、女主人公の視点で書かれた Rosso (=赤パート)によって構成されています。

青パートは辻仁成さん、赤パートは江國香織さんが書いているため、それぞれ異なった趣の小説となっていて、その違いもまた面白いですね。

青パートは男性視点であるせいか、いろいろな情景描写が細かくて、なんというか写実的?な感じ。文章を通して写真をみているような感じなんですよね。赤パートは逆に、情緒的な感じで場面が「ふわっ」としているように感じたかな。

濡れ場に関する描写も同じような感じです。青はしっかり、赤はふわっと。もう、青の濡れ場描写は、「官能小説かっ!?」っていうほどでした、個人的に。こりゃあ、通勤電車では読めないね…。

あと、青パートではやたら固有名詞が登場します。「ヴェッキオ橋」とか「シニョーリア広場」とか。

逆に赤パートは固有名詞が少なくて、「近くの橋」とか「広場」としか書かれていないことが多いです。

こういったところにも、男性と女性の感性の違いがあるのかなーと思いました。

男女別々の作家さんが一つの物語をつくることで、いろいろ読み手としても感じることができ、なかなか挑戦的な企画で面白かったです。

また誰か、同じような企画で本を書いてくれないかなあ。

書籍 Links

それでは、書籍マイスター(※自称)のぼくが、みなさまにオススメの一冊を紹介する「書籍Links」のコーナー。

今回は、『冷静と情熱のあいだ(Blu)』で感じた 3 つのキーワードに関連する書籍をご紹介します!

『冷静と情熱のあいだ(Blu)』の My キーワード Best 3 がこちら (*´ω`*)

① クズ男の恋愛

② 芸術の香り

③ まるで官能小説

本作の主人公、阿形順正のような 「① クズ男の恋愛」が気になった方へのオススメですが…

川上弘美 著 『ニシノユキヒコの恋と冒険』 はいかがでしょうか?


ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫) [ 川上弘美 ]

『ニシノユキヒコの恋と冒険』は、真実の愛をもとめて 10 人の女性と情を交わしたニシノユキヒコの生き様を追う、短編集となっています。川上弘美さん独特の柔らかい語り口で進む、ちょっと不思議で切ない物語です。

次に、本作のいろいろな場面で登場する「② 芸術の香り」に魅了されたあなた、そんなあなたには…

中野京子 著 『怖い絵 死と乙女篇』 がおススメです。


怖い絵(死と乙女篇) (角川文庫) [ 中野京子(ドイツ文学) ]

この本は、海外の名画を題材とし、その絵画が描かれた背景について掘り下げることで、そこに潜む心理を読み解くというノンフィクション・ミステリーです。本の表紙にもなっている、レーピン作 『皇女ソフィア』 をはじめとし、22 の名画について解説した読み応えのある一冊となっています。

最後に、「③ まるで官能小説」のような描写に興味のあるあなた、そんなあなたには…

有名どころで申し訳ないですが、村上春樹 著 『ノルウェイの森』 などいかがでしょうか?


ノルウェイの森【電子書籍】[ 村上春樹 ]

『ノルウェイの森』は、ワタナベ君こと「僕」が、サナトリウム(療養所)を舞台として「直子」やその他の人々と交流していく青春&純愛小説です。超有名作家である村上春樹さんの初期の作品であり、いまとは少し違った文体であると感じますが、登場人物である若者たちの繊細な心を描いた独特の文章は秀逸で、流石の完成度です。特に、その比喩表現の素晴らしさは鳥肌モノで、まだ読んでいない方には絶対に一読の価値ありと紹介できる名作です。

あと、ちょこちょこと濡れ場の描写が入ってきますが、わりと生々しく書いてるなあって印象があったので、「③ まるで官能小説」のキーワードから連想しました。

旅 Links

次は、小説の舞台となった場所を現実に見て回りたいと考えているあなたに捧げるコーナー、旅 Links です。

ここでは、『冷静と情熱のあいだ(Blu)』作中に登場する場所についてご紹介します。

『冷静と情熱のあいだ(Blu)』の舞台は大きく 2 つに分けることができます。

まず、物語の主要な舞台であるイタリアのフィレンツェ

作中には、

「ドゥオモ」

「ヴェッキオ橋」

「アルノ川」

「グイッチャルディーニ通り」

「パラッツォ・ピッティ」

などの地名・建築物が登場します。詳しくは「Book Travel: 冷静と情熱のあいだ(イタリア編)」にまとめてありますので、興味のある方はご覧ください。

そして、もうひとつの舞台は 東京。ここは、順正が学生時代にあおいと愛を交わした場所であり、傷心した順正がもどってきた街でもあります。

作中では、

「羽根木公園」

「梅ヶ丘」

「成城大学」

「千駄ヶ谷」

などの名前が登場しています。詳しくは「Book Travel: 冷静と情熱のあいだ(東京編)」にまとめてありますので、そちらも併せてどうぞ(・ω・)ノ

アイテム Links

最後は、小説に登場した食品や雑貨に興味があるあなたへお贈りする、アイテム Links のコーナー。

このコーナーも記事ボリューム削減のため、Book Items の記事に詳しい情報をまとめています。気になるアイテムがあったら、ぜひ詳しい記事も御覧くださいね。

『冷静と情熱のあいだ(Blu)』では、地名はよく登場しているのですが、アイテムとして紹介できそうな雑貨に関する記述はあまり多くありません。しいて言うなら、いくつかの料理の名前と美術品が登場するくらいです。

作中に登場した料理は、

「リボッリータ」

「しろいんげんのパスタ」

「子牛の胃袋のトマト煮込み」

「パニーノ」

です。パニーノ以外は、あまり日本では馴染みのない名前です。

リボッリータ、しろいんげんのパスタ、子牛の胃袋のトマト煮込みは、煮え切らない順正に腹をたてた芽依がフィレンツェのレストランでやけ食いするシーンで登場する料理ですね(小説版 56 ページ)。

パニーノは、順正のお気に入りの習慣、「だれもいない朝の修復工房でパニーニを食べてカプチーノで流し込む」というシーンで出てきます。

それぞれどんな料理なのかは、コチラの記事をごらんください。

一方、作中には多くの美術品が登場します。しかし、その多くは「ただ登場するだけ」で、あまりストーリーに絡んできません。多少なりともストーリーに絡んでいるのは、次の 2 つでしょうか。

ラファエッロ作 「大公の聖母子」

アンジェリコ作「受胎告知」

「大公の聖母子」は、順正のお気に入りとして物語冒頭に登場し、その監視員の移り変わりから時の流れを実感するシーンへとつながっていきます(小説版 47 ページ)。

「受胎告知」は、順正の味方であり、良き理解者である祖父「阿形清治」がイタリアに訪ねてきて、芽依、順正と三人で美術館巡りをするシーンで登場します(小説版 116 ページ)。ここはイタリアで傷心した順正が日本へ帰る決意を固める、という物語の重要な転機となるシーンです。

終わりに&ネタバレ感想

『冷静と情熱のあいだ(Blu)』は、忘れらない女性、あおいとの約束「あおいの 30 歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモのクーポラで会う」をストーリーとの主軸に置いています。

果たして、順正はクーポラに登る決意を固めるのか?

あおいはクーポラへやって来るのか?

二人の人生を追いながら、そこにヤキモキするのがストーリーの肝です。

結論からいうと、二人は無事に再開することができます。そしてその後、お互いの気持を確かめるかのように体を重ねますが、そこで二人はお互いが別の人生を歩んできたことを実感として感じます。

愛し合ったあと、あおいは、順正のいない「いまの生活」へと帰ることを決意しました。

一方、順正は、あおいの「これまで」に嫉妬しつつも、「これからの生活」を築いていきたいという自分の気持と向き合い、たとえ傷つくとしてもあおいを追いかけたいと決意しました。

そして、順正は、ミラノへと帰るため駅へと消えたあおいを追いかけて、ミラノ行きの特急「ユーロスター」へと飛び乗るのです

…というところで、物語は終わります。

いわゆる、「物語の結末は読者に委ねますね」方式。

………。

………。

………。

ああ!むっちゃモヤモヤする!!

ぼくは、この「委ねます」方式、あんまり好きじゃないんですよね。ちゃんと責任持って、物語を完結させろよっ!ていう気持ち。ただまあ、クズ男で過去ばっかり見ていた順正くんが、未来のために走り出したってことで割りと爽やかに終わっているので、後味は良かったです。

ということで、なんか微妙にドロドロしてる恋愛小説でしたが、最後は爽やかに終わったので意外と悪くなかったです。

しかし、万が一にも、あおいに拒絶されちゃったら、順正くんは自殺しそうだね… (´・ω・`)

やっぱり男のほうが未練たらしいのかな…。

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読書 Links とは

はじめまして。

このたびは、ブログ『読書 LINKs』にお越しいただき、ありがとうございます。

ブログの管理人、『めがね』と申します。

この投稿では、このブログでやりたいことについて、ご紹介しようと思います。

このブログのコンセプトは、

「ひとつの本から生まれたLINK によって、あなたの世界を広げるレビューサイト」

です。

うーん…、われながら漠然としていて、分かりにくいですねー(^_^;)

簡単に言ってしまうと、本のレビューを書くだけじゃなく、その本に関する様々な情報を連想ゲームのように紹介していって、ブログを訪れたみなさんが 新たな本・経験に出逢える ような機会を提供したいなあ、

ということなんです(`・ω・´)

例えば、あなたが、ある本を読んだとして、

このジャンルでほかにおススメな本は?

この本の舞台を旅行することってできる?

この本に出てきた料理や雑貨ってどんなもの?

そんな疑問をもつことができたら、次の本や経験と出逢うチャンスですよね。

『読書 LINKS』 は、そんな疑問にこたえることのできる総合情報型レビューサイトを目指しています。

ただ、ひとつご注意をば。本ブログは、wiki ではなく個人的なレビューサイトです。

ですので掲載されているオススメ本は網羅的なデータからチョイスされたものではありません。あくまでも、管理人の読書歴を基盤として作成された、個人的なものであることをご理解ください。

そのようなことを踏まえたうえで、ブログを訪れてくださったみなさんと双方向的に改善しつつ、よりよいブログにしていきたいと考えています。

はなはだ未熟者の管理人ではございますが、温かく見守っていただけたら幸いでございます。

2019年9月 吉日

めがね (´-`*)